特集 38年目迎えたJRグループ JR九州
事業構造改革、豊かなまちづくりモデル創造
コロナ禍からの成長軌道への復帰を目指して、2022年から3カ年のグループ中期経営計画の最終年を迎える。鉄道事業の黒字体質の安定化など事業構造改革に取り組むとともに、豊かなまちづくりモデルの創造、新たな貢献領域での事業展開を引き続き推進する。
経営状況を見ると、24年3月期連結決算の通期業績予想は、売上高4170億円、営業利益457億円、経常利益459億円、当期純利益407億円。コロナ禍前の18年度水準にはまだ開きがあり、計画達成には残り1年の奮起が不可欠となる。
DCに新観光列車を投入
新年度のスタートに合わせて、福岡、大分両県を舞台に大型観光キャンペーン「福岡・大分デスティネーションキャンペーン(DC)」が4月から6月まで開催。JR九州では新D&S(観光)列車「かんぱち・いちろく」を両県にまたがる久大線に投入し、DCを盛り上げる。
列車は今月26日から久大線経由の博多―別府間を1日片道運行(木曜日運休)。内外装には鹿児島市の建築会社が手掛けたデザインを初めて採用。3両編成の1、3号車が客室で、車内では沿線食材の上質な料理が味わえる。
九州新幹線の利用状況は、18年度比90%台まで回復したものの、戻り切っておらず、さらなるてこ入れが必要。西九州新幹線は堅調な利用を示すが、開業から1年半を迎え、今後の営業施策が維持向上の鍵を握る。
同社初のBRT(バス高速輸送システム)として、昨年8月に運行開始した日田彦山線BRTひこぼしラインは、鉄道時代を大きく上回る1日平均約240人が乗車。好調な利用を受けて、今月9日から中型ディーゼルバス1台を追加投入する。
自動運転、路線拡大の第一歩
3月に香椎線で始まった全国初の「GOA2・5自動運転」はトラブルなく運行。鹿児島線では「自動列車運転支援装置」(GOA2・0)の営業列車による実証運転も始まり、本年度は他路線への展開を見据えた第一歩となる。
開発関連では、準備工事が進む博多駅空中都市プロジェクトを中心とする福岡エリアのまちづくりが加速。九州・山口・沖縄を対象にした広域サービスを目指す「九州MaaS(マース)」が今夏にも事業開始する予定だ。
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