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連載 北陸新幹線金沢-敦賀間 工夫凝らした建設工事 鉄道・運輸機構 ②福井開発高架橋

2024.02.21
線路に挟まれたスペースでの施工となった福井開発高架橋工事(鉄道建設・運輸施設整備支援機構提供)

 LRV工法で工期を短縮 「土木学会技術賞」受賞

 福井駅周辺の高架橋工事は、JR北陸線、えちぜん鉄道の線路に挟まれた部分のため、狭いヤードでの施工となり、安全面の配慮をより一層要することになった。また、えちぜん鉄道の仮線を撤去するまで着手できないことから、従来の工法では工期内での完成が厳しく、大幅な工期短縮を実現できる新しい工法が求められた。

 同駅北側の「福井開発(かいほつ)高架橋」(全長約2・3㌔)では、整備新幹線の鉄道高架橋の建設で初めてフルプレキャスト化(PCa化)による「LRV工法」を採用した。同工法は高層建築用に開発された技術で、コンクリート製の柱や梁(はり)部材などをあらかじめ工場で製作し、現場でのコンクリート打設が不要になる。

 複雑な配筋作業や柱・梁の接合部の製作も工場で行うため、高い品質を確保でき、短期間での施工を実現。PCa化した接合部については、工場での実証実験を経て、工事でも問題なく一体化できることを確認した。

 同高架橋では、11連のRC(鉄筋コンクリート)新幹線ラーメン高架橋をフルプレキャスト化することで、コンクリート工事の施工を省力化して生産性を向上。柱と梁の接合部を現場打ちする従来工法で12カ月かかるのに対し、今回の施工では7カ月と全体で5カ月の工期短縮を図った。

 近年の鉄道土木工事では、労働者不足が問題となる中、施工省力化による生産性の向上と大幅な工期短縮という課題を達成。鉄筋コンクリート構造物の耐久性向上により、長寿命化、維持管理の合理化に寄与することが高く評価され、同高架橋は「令和3年度土木学会技術賞」を受賞した。

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