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連載 「高松オルネ」開業への道 ①徳島の成功と高松駅の移転

2024.03.21
JR四国初の本格的駅ビルとなった「徳島駅ビル」。左側と中央の高層部が「JRホテルクレメント徳島」、右側が商業施設「徳島駅クレメントプラザ」

 1993年、徳島に駅ビル

 初のSC、鉄道利用増に貢献

 JR四国はあす22日、高松駅ビル「TAKAMATSU ORNE」(タカマツ オルネ)をグランドオープンする。本格的な駅ビル商業施設としては、1993年開業の「徳島駅クレメントプラザ」以来31年ぶり、2施設目。同社が「中期経営計画2025」「長期経営ビジョン2030」に掲げる「非鉄道事業における最大限の収益拡大」の具現化となる。長らく開発に踏み出せなかった背景や、開発決定の経緯、開業に向けた取り組みなどを紹介する。(鈴木 宏治記者)

 まずは、これまで同社唯一の本格的駅ビル商業施設だった同プラザ開業の経緯を振り返っておきたい。同プラザは、徳島、香川県を舞台に93年に開催された第48回国民体育大会(東四国国体)を前に、地元から大型ホテル誘致の話が持ち上がったのが発端。

 これに応えて同社は、徳島駅にホテルとともにショッピングセンター(SC)が一体となった駅ビルを建設することとし、SCは93年4月24日にオープン。ホテルは「ホテルクレメント徳島」(現・JRホテルクレメント徳島)として7月2日に開業した。運営管理は、徳島ターミナルビル(現・JR四国ホテルズ)がホテルとSCを一体的に担った(のちSC運営はJR徳島駅ビル開発〈現・JR四国ステーション開発〉に移管)。

 同社初のSC運営を前に、中堅・若手社員3人(藤村敏明JR徳島駅ビル開発元常務、矢田栄一JR四国ホテルズ社長、森下聖史JR四国監査役)が、JR東日本グループの駅ビル「ルミネ横浜店」(運営管理・ルミネ)で研修を受けノウハウを習得。ルミネはテナントリーシングでも協力した。

 同プラザへの地元の期待は大きく、開業日は開店前に約5000人の行列ができたほか、鉄道利用者数の増加にも貢献し、日によっては徳島駅の乗降客数が高松駅を上回ることも。ホテルを除く年間売上高は70億円前後で推移した。

 一方、高松駅は、88年4月10日の瀬戸大橋線開業に伴う宇高連絡船の廃止により、駅周辺を「サンポート高松」として大規模再開発する香川県、高松市などの計画に基づき、2001年5月に駅を旧岸壁隣接地から約200㍍西の現在地に移転。旧駅舎の位置には同月、シティーホテル「全日空ホテルクレメント高松」(現・JRホテルクレメント高松、運営管理・JR四国ホテルズ)がオープンした。

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