交通新聞社 電子版

指定席 JR東日本・加藤格氏

2024.03.22
加藤 格氏

 福島駅アプローチ線建設の現場で施工監理の指揮を執るJR東日本東北建設プロジェクトマネジメントオフィス(東北建設PMO)南東北プロジェクトセンター福島派出チーフ

 加藤 格(かとう いたる)氏

 

 福島駅側から見てやや東寄りに湾曲しながら高架橋が北へ延び、直角に近い急カーブで西へ折れる。在来線(奥羽線)と新幹線上りホームを結ぶ全長約1300㍍の福島駅アプローチ線が完成すれば、ダイヤ設定の柔軟性や輸送障害時の遅延回復能力が飛躍的に高まる。「大きな責任を感じる。出身県の工事に携わって地域貢献できるのはうれしい」。2026年度末の使用開始に向け、安全第一を胸に現場を歩く。

 同線の計画策定や設計発注などに従事した後、施工監理担当として着任した。「東北で新線の建設に携わることができるのはまれな経験」とやりがいを語る。

 昨年はプロジェクト屈指の難工事をやり遂げた。5月の奥羽線を約620㍍にわたり移設する切り替え工事と、7月の県道庭坂福島線(庭坂街道)をまたぐ全長34㍍の桁の架設だ。「切り替え工事では軌道の責任者として、作業員約350人の役割分担を明確にして作業計画を検討し、東北建設PMOの工事で初使用だった道床掘削機を事前に現場で作動させるなど綿密な準備で臨んだ。予定通り約30時間で完了してほっとした」と振り返る。

 かつて携わった東日本大震災の復興プロジェクトは厳しい工程管理で進められた。「課題は抱え込まず、関係者を巻き込んで迅速に解決した。この経験は関係者の多いアプローチ線建設でも役立っている」と流儀を説く。

 この姿勢に加え「人の話を聞いて真摯(しんし)に対応し、周囲の信頼を得れば、より責任のある仕事を任されてステップアップになる」と後輩たちへアドバイスを送る。

 アプローチ線をまたぐ本線上を、試運転の山形新幹線のニューフェース「E8系」が走り抜けた。目を細めて見つめる脳裏には、E8系がアプローチ線を走る3年後の景色が浮かんでいるはずだ。(岡崎 慎也記者)

 略歴 2006年4月JR東日本入社。東北工事事務所(現・東北建設PMO)工事管理室、同復興推進などを経て、21年4月から現職。福島県須賀川市出身。40歳。

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