JR東日本・パナソニック コネクト 「放送音量自動制御システム」を開発
駅の放送音量を自動制御 さいたま新都心駅で本格稼働
騒音との音量差を常時維持
JR東日本とパナソニック コネクト(東京都中央区)は11日、誰もが聞き取りやすい放送装置「放送音量自動制御システム」を開発したと発表した。周囲の騒音をリアルタイムで集音し、常に聞き取りやすい放送となるように放送音量を自動で調整するシステムで、駅構内の利便性・快適性向上が図られるものと期待される。同日から宇都宮線(東北線)・京浜東北線さいたま新都心駅コンコースで本格稼働させている。
駅は列車の走行音など周囲の騒音が大きく、また発着列車の有無などで騒音が変動し、必要な情報を放送しても正しく内容が伝わりづらい状況があった。そこで、JR東日本が培った駅の音環境に関する知見と、駅放送技術に長年の歴史を持つパナソニック コネクトの技術力を掛け合わせ、誰もが聞き取りやすい放送を実現するシステムを開発した。
同システムは、常に変動するコンコース内の騒音を騒音センサーによりリアルタイムで集音。騒音と放送音量の差を適切に常時維持するように、放送音量を騒音量より7~10 デシベル 程度大きくなるよう自動制御する。これにより、過剰にうるさく感じることなく聞き取りやすさが向上する。放送音が過剰に大きい場合は、自動で音量を抑えるピークカット機能が搭載されている。
駅コンコースの騒音をリアルタイムで取得する際、騒音センサーは音量制御された案内放送自体も拾うことになるが、自身の案内放送の影響を除外して騒音量を推測できる点が、既存のシステムとの大きな違いになる。
本格稼働させたさいたま新都心駅は、付近に多くの商業施設やオフィス、イベントホールなどがあり、騒音変動が大きい。貨物列車が付近を走行し、通過時は騒音が発生しやすいことも選定理由の一つになった。
このように、案内放送を聞き取りづらい状況が想定される騒音変動の大きい駅や、異常時に大混雑が予想される駅、ホーム階から吹き抜けの空間があるなど列車の発着音が響きやすい駅などへの導入が効果的だと考えられる。
両社が2018年3月に共同出願し、駅の放送音量制御装置として22年に取得した特許を基に同システムを構築した。これまで、20年3月に高輪ゲートウェイ駅コンコースで、今年8月からさいたま新都心駅コンコースで稼働試験を行っていた。
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