JR東日本 車両床下機器「画像によるCBM」運用開始 山手線E235系で
「画像によるCBM」運用開始
山手線E235系の床下機器
省力化でスマートメンテ推進
JR東日本は1日、車両CBM(状態基準保全)の一環として、山手線E235系車両の車両機器の「画像による状態確認(画像によるCBM)」の運用を開始し、首都圏本部東京総合車両センターで記念式典を開催した。画像(静止画)を基に車両機器の状態を自動判定する技術の実用化は日本初。一部の床下機器類を対象にメンテナンスの省力化を図り、スマートメンテナンスの推進につなげる。
画像による状態確認は、列車が同センターへ入線する際に、車両外観検査装置が外部の側面から車両床下部を撮影。システムが新旧の画像を比較することで、台車部を除く機器類の取り付け状態や外観状態の健全性を自動判定する。
運用開始により、90日ごとの定期検査で人が目視で行っていた外観検査のうち、床下に設置された各種機器箱の状態をはじめ、空気配管やコックの状態といった一部の項目を画像による自動判定に置き換えて、定期検査の項目から除外する。自動判定で異常が検知された場合はアラーム表示され、人の目でチェックする。
この日の式典には、矢野精一執行役員・鉄道事業本部モビリティ・サービス部門長、土屋弘首都圏本部鉄道事業部モビリティ・サービスユニットチーフマネージャー、田中義一同センター所長ら関係者約30人が出席。
田中所長は「スマートメンテナンスを目指す中で今回の施策は非常に重要。当社だけではなく、鉄道業界に誇れるような仕掛けをしっかりとつくっていきたい」とあいさつした。
矢野部門長は「クリアしなければならない課題はあるが、今後のスマートメンテナンスを実現していく上で風穴を開けたことを頼もしく思う。スマートメンテナンスの実現により、鉄道のメンテナンスの仕事をしたいと思う若者が増えれば」と述べた。
E235系では、2018年6月から「モニタリング保全体系」を導入。車両データに基づくCBMとして、状態監視によってパンタグラフやマスコン、ブレーキ制御装置など17種類の機器について、車両運用中の状態を把握する「運用中の機能確認」を開始した。
22年9月には、蓄積したビッグデータの分析により、パンタグラフ、空調装置、戸閉装置(ドア)の各機器の劣化状態や寿命を把握する「劣化・寿命把握」の運用を開始している。
今回、画像を基にしたCBMの運用開始により、スマートメンテナンスの一層の推進が期待される。今後は他の機器類などへ対象を拡大することも検討している。
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