国交省 「地域の公共交通リ・デザイン実現会議」とりまとめを公表
地域を4類型化し対応促す 関係省庁が共同で指針、通知
国土交通省は5月31日、「地域の公共交通リ・デザイン実現会議」(議長・斉藤鉄夫国土交通大臣)のとりまとめを公表した。地域の多様な関係者の連携・協働による持続可能な地域交通のリ・デザイン(再構築)に向けた方向性をまとめており、自治体などの取り組みを促すため、関係省庁が共同で指針や通知を発出することを盛り込んだ。併せて、取り組みの参考にできるように各地の事例をカタログ化し、同省ホームページで公開している。
同会議は、人口減少などに伴い移動の問題が表面化・深刻化してきたことを受け、地域の移動に関する関係省庁が連携し、昨年9月に設置。自治体、交通事業者、学識経験者、関係省庁などが構成員となり、デジタルを活用しつつ交通の再構築と地域の社会的課題解決を一体的に推進するため議論を重ねてきた。
とりまとめでは、地域をA(交通空白地など)、B(地方中心都市など)、C(大都市など)、D(地域間)の四つに類型化。それぞれの交通維持に向けた方向性を示すとともに、連携・協働を推進する環境を醸成していくため、政府共通指針や分野別の指針・通知の策定を行うことを記載した。
類型化した地域のうち、Aは公共交通事業者だけでは移動手段を十分に提供することが困難な地域と位置付け。財政面を含め公的関与を強化すること、他分野との連携を強化して教育や福祉、医療、宿泊施設の送迎をはじめとする地域の輸送資源を総動員し、地域交通を確保していくことが必要とした。
Bについても、郊外で赤字路線を抱え、人口減少などを背景に持続可能性に課題を抱える地域とし、地域の公共交通の再評価・徹底活用が必要と指摘。Cはサービス拡充、Dは地域の実情に応じて幹線鉄道ネットワークを強化する取り組みについて検討する方向を掲げた。Aでは自家用有償旅客運送制度の活用、BやCではライドシェアの活用なども盛り込んだ。
政府共通指針「地域の公共交通リ・デザイン連携・協働指針」は早期に策定し、自治体などに周知する。その後の分野別の指針・通知については、複数省庁連名で具体的な規制や補助の取り扱いなどについて行い、部局間連携時に必要な手続きについて明確化。地域車両の他用途での活用を後押しする。
取り組みの実装に向けては、地域交通法に基づく法定協議会や地域公共交通計画のアップデートが必要と指摘。具体的な施策として、AI(人工知能)オンデマンド交通や自動運転移動サービスなど新技術・デジタル技術の活用、貨客混載、交通事業者間の共同経営やエリア一括協定運行事業による運行の効率化・安定化などを挙げた。
施策推進に向けたKPI(重要業績評価指標)として、法定協議会・地域公共交通計画をアップデートし、他分野との連携・協働に先導して取り組む自治体数を2027年度100団体を目指すことなどを掲げた。地域の公共交通事業者の集約、国と自治体の役割分担や財源負担の在り方などについては今後の継続課題とした。
各地の事例カタログについては、55の事例を実装フェーズ、実証・事業開始フェーズに分け、地域輸送資源の総動員や地域の公共交通の再評価・徹底活用、デジタル活用などの項目別に分類。A、B、Cどの地域の取り組みかを示した上で、スクールバスと路線バスの連携や介護施設送迎への混乗、自動運転などの取り組みの概要や経費、関連の支援制度などを「連携・協働のカタログ」として掲載している。
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