名称は「津軽『時巡』号」 弘南鉄道のイベント列車
青森県のローカル鉄道・弘南鉄道は、昨年8月から10月にかけて公募していた弘南線弘前―黒石間で運行するイベント専用列車の名称を「津軽『時巡』号」(つがるとぎめぐごう)とするとともに、車両外観のデザインを決めた。
名称は、弘南鉄道の四季に応じたイベント列車の「季節(時:とき)」を巡る旅とイベント列車の「ときめき・わくわく感」を訛(なま)りも交えて掛け合わせた。車両デザインは、先頭車前面に春夏秋冬をそれぞれ日本の伝統色で表現した。名称・デザイン合わせて307件の応募があった。
イベント列車はデハ7154・7101の2両編成で、昨年、車内をリニューアルしていた。ウィズコロナ、バリアフリー対応のお座敷車両で、季節ごとに地域の食を楽しめるようにしている。
和風車両の床面は畳仕様。洋風車両もあるが、利用用途に応じて床面を畳敷きに変更できる。編成全体でテーブル10卓設置が可能という。
車内には、沿線観光施設の壁画や同社が毎年夏に運行している「金魚ねぷた列車」をモチーフに考案した木彫刻を置いた。また、江戸時代の錦絵絵師・歌川国芳の「金魚づくし」の絵をもとに、大阪・岸和田のだんじり彫刻師が弘南鉄道沿線の名所や名産物をアレンジしながら製作した。
イベント列車については、「地域の観光関係者と連携し、沿線の観光コンテンツと組み合わせた列車運行を行っていく」としている。
■安全運行への信頼回復が最大の課題
弘南鉄道は昨年、大鰐線での列車脱線事故を契機に、線路不具合事象が発覚。秋以降、弘南線、大鰐線のいずれも全線運休して補修工事を行い、弘南線は約40日ぶり、大鰐線は約2カ月ぶりに運転を再開した。安全運行に対する信頼回復が最大の課題となっている。
同社の2022年度決算によると、経常損益は電力料増加などで1億8384万円の赤字を計上した。赤字額はイベントなどで前年度より改善されたが、経常赤字は12年連続。沿線自治体からの支援もあるが、当期純損益は4079万円の赤字。他ローカル鉄道同様、厳しい経営状況が続いている。
弘前圏域の弘前市、黒石市、平川市、藤崎町、板柳町、大鰐町、田舎館村、西目屋村の8市町村では20年7月に「弘南鉄道弘南線・大鰐線維持活性化基本方針」を定め、21年1月に弘前市、黒石市、平川市、大鰐町、田舎館村の5市町村が10年間の「弘南鉄道弘南線・大鰐線維持活性化支援計画」を策定、各種施策を通じて「地域の足」の確保に努めている。
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