日本鉄道車両機械技術協会「23年度全国『車両と機械』研究発表会」 日本鉄道車両機械技術協会会長賞
オイルダンパ検修における不具合原因の特定および作業効率化
東海交通機械車両事業部名古屋事業所
オイルダンパは走行中の車両の揺れを少なくすることで安全性、乗り心地を向上させる装置。検修作業は分解、組み立て、試験、仕上げの順に行うが組み立て後の試験で不合格となれば再度分解し、部位の取り替えなどを行うことになる。再組み立てによる他業務への圧迫、ヒューマンエラー発生につながる恐れがある。
再組み立てを少なくするためには一連の作業を最適化することが不可欠だった。そこで、ダンパ動作試験では、それまで全般検査出場基準のみを管理していたが、減衰力の推移を可視化した「リサージュ波形」に着目した。再組み立てとリサージュ波形の形状に一定の関係性があると仮定し、リサージュ波形から経年劣化部品を特定できると考えた。
ヨーダンパでは「引張の減衰力不足」、左右動ダンパでは「高速動作時の減衰力不足」が明らかになったが、部品を新品に交換することで減衰力が回復することを確認した。
再組み立てにつながる全ての原因とリサージュ波形における傾向を特定し、入場検査時に波形を見比べることでダンパの不具合状態を診断できる「NG診断表」を作成した。組み立て作業時に劣化部品を見逃すことなく、再組み立て回数の減少につながった。
減衰力調整作業では、各ダンパの合格減衰力が出力されるバネ座の適正位置を特定して基準位置とすることで、調整作業をより簡素化することができた。
今後も所属別、線区別のダンパを継続調査することで走行線区における部品への影響度を解明していく。取り替え基準のない部品や現状測定方法のない部品に対して調査を行い、再組み立て防止につなげていく。他ダンパに展開することで検査修繕する全てのダンパにおけるさらなる品質向上を図る。
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