交通新聞社 電子版

指定席 JR九州バス・原奈津美さん、井手さやかさん

2024.08.30
㊧原 奈津美さん㊨井手 さやかさん

 JR九州バスの貸切営業とバスガイドの〝二刀流〟で活躍する

 原 奈津美(はら・なつみ)さん(左) 

 井手(いで)さやかさん(右)

 修学旅行などに欠かせないバスガイドが全国的に不足し、バス事業者がガイドの手配に苦慮する中、ガイド経験者として長いブランクを経て、2年前に現場復帰。軽妙なトークと明るい笑顔で乗客をもてなしている。

 ガイド人口が年々減少する中、コロナ禍の影響で低迷した貸切バス需要は2022年から急激に回復。派遣ガイドの高齢化や事業者間での取り合いで手配が困難な上、ガイド料の値上がりが利益を圧迫する。

 こうした状況に、ガイド手配に当たる二人は思い悩む中で、「じわじわ感じていたことですが、じゃあ、経験者の私たちがやればいい」と会社に提案。22年夏ごろから復帰に向けた研修をスタートさせた。

 二人とも、育児期間を含めブランクは10年以上に及び、復帰に向けた課題は山積みだった。原さんは「この間に九州新幹線が全線開通し、熊本地震も起きました。情報をアップデートするために、需要の高い熊本や長崎を重点的に訪れ、現地の変化を学びました」と語る。

 さらに、新人時代からガイドの心得や案内のポイントをメモした数十冊に及ぶノート(自称・虎の巻)を引っ張り出し、新たな要素を書き加えた。

 22年秋から本格復帰し、制服も新調した。従来の貸切営業の業務との両立を大切にし、職場の同僚の協力を得ながら、派遣ガイドの手配ができない場合などに乗務している。「当初は失敗もありましたが、勉強を重ねながら徐々に取り戻していきました」(井手さん)、「今昔を交えて若いころより案内に深みを持たせるようにしています」(原さん)。

 この現場復帰のストーリーを、6月に開催されたJR九州グループのサービス発表会で、バスガイドさながらの演出で披露したところ、会場審査特別賞を受賞した。二人は「とても緊張しましたが、バスガイドの仕事を知ってもらえる良い機会になったと思います」と口をそろえる。

 まもなく秋の繁忙期を迎える。年齢を重ねた分、仕事ぶりに余裕を感じているそうで、「旅での出会いは一期一会。お客さまにとってより豊かな思い出となるよう、真心を込めてご案内します」と誓った。

(松尾 恭明記者)

 原さん略歴 1997年3月入社。福岡県飯塚市出身。

 井手さん略歴 2003年4月入社。福岡県那珂川市出身。

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