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鉄道友の会 2023年「島秀雄記念優秀著作賞」6件決定

2023.10.13

 鉄道友の会は、鉄道と鉄道文化の発展に寄与することを目的に、鉄道分野に関する優れた著作物や著作物に関わる功績を顕彰する2023年「島秀雄記念優秀著作賞」6件を決定した。08年から選定、今回が16回目となる。

 対象は昨年12月31日までの過去3年間に発行された著作物など。受賞作品は、単行本部門が「小坂森林鉄道(上・下)」(坂中真之、ブイツーソリューション)、「京成/新京成100・126形(上・下)」(稲葉克彦、ネコ・パブリッシング)、「写真集 叡山電車100年のあゆみ」(中田安治、成山堂書店)の3件。

 定期刊行物部門は、「遊泉寺銅山専用鉄道とその車輌に関して」(阿部貴幸、「鉄道史料」173号、鉄道史資料保存会)の1件。

 特別部門は、京都市文化財保護課の「こんにちは京都市電―『京都市電関係資料』をひもとく」(京都市文化財ブックス第35集)の刊行および関連企画と、鉄道博物館「鉄道の作った日本の旅150年」の刊行および関連企画の2件。

 「小坂森林鉄道」は、名古屋営林局の小坂(おさか)森林鉄道を徹底調査した成果物。記録性と資料性が非常に高く、著者作成の図面を用いた技術的な解説や、森林鉄道全体のシステム的な基礎知識も分かりやすくまとめられ、森林鉄道について知る上で良い参考書となっている。

 「京成/新京成100・126形」は、1927年に京成電鉄で誕生、戦後に新京成電鉄に転じて87年まで活躍した鋼製電車の生涯を紹介。少年時代に親しんだ車両を、後年体系的に研究した鉄道研究の原点ともいうべき作品で、多くの研究者・趣味者の参考となる良書となった。

 「写真集 叡山電車100年のあゆみ」は、叡電開業100年目を迎えるに当たり、沿線在住の鉄道愛好家として歴史を振り返った写真集。沿線の変化や四季の情景が紹介され、叡山電車の魅力を広く紹介する好著であり、著者の長年の積み重ねの集大成であることを高く評価した。

 「遊泉寺銅山専用鉄道とその車輌に関して」は、明治末から大正中期に北陸線小松駅と遊泉寺銅山を結んだ鉱石輸送用鉄道に関するもの。埋もれた資料の発掘・分析手法と成果を、趣味的観点からの地方鉄道史・車両史研究の模範として選定した。

 京都市文化財保護課の刊行書籍は、2021年3月に同市指定文化財となった京都市電関係資料877点の目録で、指定記念特別展とシンポジウムの記録などの性質を持つ。事業廃止後の資料保存が課題となる中、廃止45年後の指定、膨大な資料の整理と目録化を、今後の模範となる業績と評価した。

 鉄道博物館の刊行書籍は「鉄道150年」を記念した同名企画展の図録で、日本における鉄道と鉄道を利用した旅の変遷について俯瞰(ふかん)的かつコンパクトにまとめ、資料性の高いものとした。旅を切り口にしたことで、鉄道趣味者だけでなく広範囲の読者へ届く構成・内容となっている。

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