交通新聞社 電子版

墨滴 9月18日付

2024.09.18

 トロッコ列車「シェルパくん」が急勾配を上る。まだ蒸し暑さの残る9月の昼下がり、木々の間を抜けてくる風が心地よい。トロッコ列車は長野新幹線開業に伴って廃止となった信越線横川―軽井沢間の下り線を活用したもの。帰路は遊歩道になった上り線を散策しながら、往時に思いをはせた▼近所で用事があったついでに、群馬県安中市の碓氷峠鉄道文化むらへ足を延ばした。JR東日本横川運転区跡地に、1999年に開園した鉄道テーマパークだ。検修庫を活用した展示館や、屋外には歴史的車両30両以上が展示されていて見応えがある。碓氷峠の専用機関車として活躍したEF63形の運転体験もできる▼学生時代、最後の夏でにぎわう碓氷峠越えを体験した。横川駅ホームで「峠の釜めし」を立ち売りのおじさんから買い求め、EF63形に連結された特急「あさま」に乗って軽井沢を目指した▼その「ロクサン」が文化むらには現在、静態動態合わせて7両展示されている。四半世紀を超えての再会だが、あの時お世話になったのが何号機であったかは定かでない▼当時、参考にと買い求めたのがCDと写真集がセットになった「写音集 碓氷峠 ロクサン惜別の旋律」(1997年、弘済出版社刊)。その後、縁あって働くことになった交通新聞社は、2001年に弘済出版社と合併し、現在の「交通新聞社」が誕生。まさか同じ会社になるとは思いもよらなかった。

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