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JR西日本 特急「やくも」新型車両273系 運転開始

2024.04.10
出発合図を送る佐伯支社長(左端)、丸山知事(左から2人目)ら(JR西日本提供)

 JR西日本は6日、伯備線の特急「やくも」(岡山―出雲市間)の新型車両273系(4両編成)の運転を開始した。外観は、オリジナルカラー「やくもブロンズ」が主体。国内初となる「車上型制御付き自然振り子方式」の採用や、グループ向け座席「セミコンパートメント」の設置など、サービスレベルの向上が図られている。

 「やくも」の新型車両導入は、国鉄時代の1982年7月に伯備線・山陰線電化に合わせて登場した381系以来42年ぶり。

 新型車両は、山陰線・伯備線の風景に響き、自然に映えるように、大山から昇る朝日や宍道湖に沈む夕日の「うこん色」、赤瓦の街並みの「赤銅(しゃくどう)色」などを組み合わせた「やくもブロンズ」の外観となっている。

 カーブが多い伯備線の乗り心地をよくするため、車上側の曲線データと走行地点のデータを連続して照合してタイミングよく車体を傾斜させる「車上型制御付き自然振り子方式」(同社と鉄道総研、川崎車両の共同開発)を国内で初めて導入した。

 車内の快適性向上に向けては、座席間隔の拡大、Wi―Fi、全席へのコンセント導入、大型荷物スペース、フリースペースの設置、車いすスペースの拡大などが図られている。

 また、子ども連れを含めたさまざまな利用者のニーズに応える観点から、先頭車の半室にグループ向け座席「セミコンパートメント」を配置。緩やかな仕切りで適度なプライベート空間を確保し、向かい合わせのシートの座面は引き出してフラットにすることも可能だ。

 新型車両は同日から、「やくも」15往復のうち6往復で運転を開始し、段階的に追加。6月15日からは全列車が新型車両となる。

 同日は、出雲市駅と岡山駅で出発式、米子駅で記念セレモニーなどが行われた。このうち出雲市駅では1番線ホームで、「やくも10号」の出発に合わせて出発式が行われ、佐伯祥一理事・中国統括本部副本部長・山陰支社長、島充駅長、来賓の丸山達也島根県知事、飯塚俊之同県出雲市長、新型車両のデザイン監修を担当したイチバンセン代表取締役・デザイナーの川西康之氏が出席。

 佐伯支社長は「新型車両の導入を機に、観光、ビジネスなどさまざまな場面で『やくも』をご利用いただけるようPRを強化し、交流人口・観光人口の拡大、沿線活性化に努めていく」とあいさつ。テープカットの後、佐伯支社長、島駅長、来賓らが出発合図を行った。

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