JR東日本 新たな中長期ビジネス成長戦略「Beyond the Border」を策定
「Suica経済圏」を拡大 各種ID統合、アプリ創出
JR東日本の喜㔟陽一社長は4日の定例会見で、新たな中長期ビジネス成長戦略「Beyond the Border」を策定したと発表した。「Suicaの進化」による新たな「デジタルプラットフォーム」の構築を基盤に据え、同社グループの各種IDを統合、「Suicaアプリ(仮称)」を創出し、Suica経済圏の拡大を図る。10年後の2033年度における「生活ソリューション」の営業収益(売上高)、営業利益の倍増を目指す。
新戦略は、17年に策定した生活サービス事業成長ビジョン「NEXT10」に代わるもので、同社グループを取り巻くマーケットが人口減少や少子高齢化など、これまで以上に構造的・質的に大きく変化していく中、グループが目指す「モビリティ」と「生活ソリューション」の2軸による持続的成長をさらに加速させるのが目的。Suicaを「移動のデバイス」から「生活のデバイス」に進化させる。
今後のステップとしては、27年度までに「えきねっと」やモバイルSuicaなど現在20以上存在する同社グループの各種IDを一つに統合し、シームレスな利用を可能にする。
さらに、28年度に「Suicaアプリ(仮称)」をリリースし、利用シーンに合わせたサービスを一括して利用できるようにする。
併せて、移動と一体のチケットサービス、金融・決済、生体認証、マイナンバーカード連携、タイミングマーケティング、健康、学び、物流、行政・地域サービスとの連携などの新機能を、今後10年の間に順次追加。進化したSuicaであらゆる生活シーンをカバーすることを目指す。
また、進化したSuicaに集まるビッグデータを最大限活用。グループの強みであるモビリティの移動データを、さまざまなリアル・デジタルのサービスと結び付け、利用者の趣味嗜好(しこう)や健康状態に沿ったサービス・情報を適切なタイミングで届けるOne to Oneのデジタルコミュニケーションを行う。
33年度の生活ソリューションの数値目標は、23年度の売上高8470億円、営業利益1703億円のそれぞれ2倍とした。
会見で喜㔟社長は「現在は20を超えるIDが存在し、お客さまにご不便をおかけしている状況で、早くIDを統合したいと考えていた。現在展開しているサービスを一つのIDで、利便性高くご利用いただけるサービス空間をつくっていきたい」と述べた。
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