JR東日本 第8次安全5カ年計画「グループ安全計画2028」を策定
想定外を想像し安全先取り 1兆3000億円を投資
JR東日本の深澤祐二社長は7日の定例会見で、第8次安全5カ年計画「グループ安全計画2028~本質をふまえ、想定外も想像して安全を先取る~」を策定したと発表した。「築いてきた『安全文化』や安全の『しくみ』『設備』など、安全の基盤を強固にし、『これまでは想定外であったリスク』を本質の理解により想像し、安全を先取る」と定めたコンセプトに基づき、利用者や地域住民からの信頼向上を目指した安全の取り組みを進める。前計画(グループ安全計画2023)より1000億円積み増した約1兆3000億円を投じて一層の安全を追求する。
同社グループを取り巻く昨今の環境は、技術革新や人口減少、コロナ禍を経たライフスタイルの変化、自然災害の激甚化・頻発化といった激しい変化に見舞われており、こうした状況へ的確に対応していく必要があるとの観点に基づき策定した。
具体的には、仕事の本質を理解するための「仕事の目的・主旨」「ルールの意図・経緯・成り立ち・背景」「絶対に外してはいけないポイント・ツボ」など7項目の心得を認識。「うまくいっていること」も、必然なのか偶然なのかを分析して考えることで「気づき」を増やす。これにより、従来は想定外だったリスクを想像し、「想定内」の範囲を広げることで「未知なる事故・事象発生」への対応力向上を図る。
24年度からの5年間で、特に着目すべき「4つの着眼点」として、▽「人(ヒト)」と「機械(システム)」の関わり方の変化(新技術=AI〈人工知能〉、IoT〈モノのインターネット〉など)▽「仕事」と「組織」の見直し▽「コミュニケーション手段」の変化▽「自然災害」の激甚化・頻発化――を掲げた。
それぞれの具体的な取り組みとして、新システム導入時に周辺システムとの関係を含む全体像を把握した上で設計を行うことや、社員が考案した訓練の企画・実践、目的に応じたコミュニケーションツールの使い分け、気象など外部情報の活用などを進める。
また、これまで築いてきた「安全文化」や安全の仕組み、設備なども大切にして、引き続き安全の基盤を強固にしていく。
今後5年間の目標として、鉄道運転事故の発生件数2割減を設定。このうち①同社グループに起因する鉄道運転事故ゼロ②ホームにおける鉄道人身障害事故5割減③踏切障害事故を着実に減少――も定めた(数値目標は23年度比)。到達点として、「お客さまの死傷事故ゼロ、社員(グループ会社・パートナー会社などを含む)の死亡事故ゼロ」を掲げる。
①では電力設備や土木構造物など在来線・新幹線設備の強化と老朽化対策、無線式列車制御システム「ATACS(アタックス)」の導入拡大など、②はホームドア整備の加速や、車両の戸挟み検知機能向上のための技術開発・実用化など、③は全地球航法衛星システム(GNSS)や携帯無線通信網を活用した踏切制御システム導入に向けた開発や、自動車業界との連携による高度道路交通システム(ITS)技術などの活用といった取り組みを進めていく。
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