交通新聞社 電子版

墨滴 9月5日付

2024.09.05

 「令和の米騒動」である。店頭では「品切れ」「入荷待ち」の張り紙。棚には何もなく、あるのは電子レンジ、またはお湯で温める〝パック入りご飯〟。割高だが、それでも苦悩の表情を浮かべながら手に取る客の姿▼米騒動――調べてみると、時代ごとに起きているが、その要因はさまざま。江戸時代は米価急騰や供給不足、大正時代はシベリア出兵に伴う地主と米商人の投機目的による米価高騰、など▼令和はどうか。猛暑に自然災害、南海トラフ地震の臨時情報(巨大地震注意)、インバウンド増加、SNS上でのフェイクニュース……、これまでとは異なる複数の要因が絡み合う。かつての民衆暴動には至らないが、結果的には消費者の買い占めに発展した▼先日、スーパーで玄米2㌔袋を手離した途端、背後から別の手が伸びてきた。あっという間の出来事であった。また、別のスーパーでは客が店員に詰め寄るシーンも。もはやパニック状態に近い▼2024年産米の全国の作況・作柄概況(8月15日時点)によると、31都府県で「平年並み」と予想。2年ぶりの作況回復で品薄感の解消につながることに期待したいが、価格高騰の動きも出始めている。24年1~7月の輸出量が前年比で過去最高となる中、国内リスクに対する米政策の見直しが必要な時期にきているように感じてならない。「皆さん、落ち着きましょう」

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