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JR東海 24年度地震防災訓練 避難誘導、脱線復旧…実践的に

2024.09.03
ウエアラブルカメラ搭載のヘルメットを着用した作業員(右端)が指令所と状況を共有して進める脱線車両の復線作業=中津川駅構内=

 JR東海は、防災週間に合わせ、8月30日を中心に各所で地震防災訓練を実施している。南海トラフ巨大地震などの大規模地震の発生を想定し、東海道新幹線と在来線で実践的な訓練を行う。参加人員は延べ約1万5000人。

 地震対策本部の運営訓練では、旅客の救済や設備復旧に向けて現地の情報を収集し、それに応じた適切な対応をシミュレーションする。

 駅間での列車の長時間停車を想定した訓練では、乗務員と各地区の現業機関社員、救急隊などが協力して乗客を避難誘導。さまざまな復旧資材を使った脱線復旧のほか、ドローンやウエアラブルカメラ、タブレット端末などのICT(情報通信技術)ツールを用いた情報伝達などの訓練に取り組む。

 このうち、同28日には中央線中津川駅構内で東海鉄道事業本部の「多治見・木曽福島幹事駅合同応急復旧訓練」を実施。警察、消防関係者を含む約140人が参加した。大規模地震の発生によって踏切で落輪した自動車に列車が衝撃し、先頭台車2軸が脱線して設備に支障が出たと想定。列車内の乗客の救済と避難誘導、脱線車両の復線、列車の救援手配などを行った。設備復旧では、レールボンドの溶接、トロリー線をつる金具「ハンガ」の取り換え作業を終え、アルミカートで線路状態を点検した。

 脱線車両の復線作業では新たな取り組みとして、作業員の1人がウエアラブルカメラを搭載したヘルメットを着用。ジャッキアップや横送りの作業を撮影し、遠隔地の指令所でも現地の状況をリアルタイムに把握して、安全性の向上とともに的確な指示や迅速な対応ができるようにした。

 後藤広之木曽福島駅長は「自然災害などの異常時を想定した訓練を実践する中で、各職場一人一人の対応力を向上させる狙いで実施した。訓練を積み重ねて練度を上げていきたい」と総括した。

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