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国交省 25年度予算の概算要求を公表

2024.08.29

 国交省関係7兆330億円

 国土交通省は27日、2025年度予算の概算要求を公表した。要求額は国費総額の一般会計で7兆330億円(前年度予算比18%増)で、このうち「重要政策推進枠」は1兆6100億円。これとは別に、防災・減災、国土強靭(きょうじん)化のための5か年加速化対策、資材価格高騰を踏まえた公共事業などの実施に必要な経費、北陸新幹線敦賀―新大阪間の新規着工に要する経費などは、項目のみで金額を示さない事項要求を行い、予算編成過程で検討する。このほか、東日本大震災復興特別会計617億円(33%増、復興庁一括計上)、財政投融資1兆5443億円(26%減)などを盛り込んだ。

 一般会計要求額のうち、公共事業関係費は6兆2899億円(19%増)。内訳は一般公共事業費6兆2319億円、災害復旧等580億円。非公共事業は7431億円(12%増)。基本方針として①国民の安全・安心の確保②持続的な経済成長の実現③個性をいかした地域づくりと分散型国づくりの3本を柱に掲げる。

 ①の安全・安心では、東日本大震災や令和6年能登半島地震をはじめとする大規模自然災害からの復旧・復興や災害に屈しない強靭な国土づくり、インフラ老朽化対策などによる持続可能なインフラメンテナンスの実現などを重視。

 ②の経済成長は、脱炭素社会の実現に向けたGX(グリーントランスフォーメーション)推進や国土交通分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進、働き方改革などを通じた生産性の向上、持続可能な観光立国の実現などを軸とする。

 ③の地域づくりは、バリアフリー社会形成やデジタル田園都市国家構想の実現に資する分散型国づくり、持続可能な地域活性化、「交通空白」の解消などに向けた地域交通のリ・デザインの全面展開などが中心。

 主な要求のうち、地域交通のリ・デザインの全面展開については、ローカル鉄道再構築方針策定の後押し、地域鉄道事業者の設備更新支援などで331億円(38%増)。交通DX・GXを通じた利便性向上と経営力強化を図るため、財政投融資を活用した支援を行う。整備新幹線の着実な整備は前年度同額の804億円、鉄道ネットワークの充実は210億円(22%増)。

 人材確保関係は、バス・タクシーを含む運輸業や宿泊・観光業などにおける人材確保・育成に307億円の一部、物流の革新や持続的成長に向けた中長期計画を踏まえた取り組みの推進に168億円(56%増)など。

 災害対策は、気候変動による水害や土砂災害の激甚化に対抗する「流域治水」の加速化・深化に8311億円(31%増)、災害時の物流・人流確保に4939億円(21%増)、南海トラフ巨大地震、首都直下地震などの大規模地震への対策推進に2771億円(34%増)など。

 このほか、地域の防災・減災対策などに充当する防災・安全交付金は1兆405億円(20%増)、地方公共団体の取り組みや社会資本整備を総合的に支援する社会資本整備総合交付金は6089億円(20%増)を要求する。

 

 北陸新幹線敦賀―新大阪間 着工経費を事項要求

 【鉄道局関係】

 鉄道局の概算要求額は国費1164億4400万円(前年度予算比9%増)、事業費3815億7700万円(22%増)。国費の内訳は、公共事業関係費1118億4800万円(8%増)、非公共事業35億9600万円(63%増)、災害復旧10億円(同額)。財政投融資は47億1000万円(78%減)。

 主な要求のうち、整備新幹線の建設推進に充当する整備新幹線整備事業費補助は、国費803億7200万円(同額)、事業費2658億円(17%増)。さらに、北陸新幹線敦賀―新大阪間の新規着工に関する経費について、現時点で金額を示さない事項要求とした。

 整備新幹線関連では、北陸新幹線事業推進調査、青函共用走行区間における新幹線列車の高速走行調査・開発など整備新幹線建設推進高度化等事業費補助金で国費19億2300万円(20%増)。鉄道整備等基礎調査委託費等の国費4億6700万円の一部で、基本計画路線などで地域の実情に応じた諸課題について方向性も含め検討するための調査を行う。

 都市鉄道は、31年春に大阪都心部で開業予定のなにわ筋線整備、30年代半ばの開業を予定する東京地下鉄(東京メトロ)有楽町線・南北線延伸整備など、都市鉄道整備事業費補助(地下高速鉄道)に国費175億7400万円の一部を充当。羽田空港とのアクセス向上のための蒲蒲線(JR・東急電鉄蒲田―京浜急行電鉄京急蒲田間)整備に向け、都市鉄道利便増進事業費補助(速達性向上事業)で国費3000万円を要求する。

 地域鉄道関係では、鉄道事業者と地域の共創に対する支援(危機的状況にあるローカル鉄道に係る地域モビリティの刷新)で、社会資本整備総合交付金(地域公共交通再構築事業)の一部などを充当。 レールやマクラギ更新などの安全性向上にも、鉄道施設総合安全対策事業費補助の一部などを充てる。鉄道建設・運輸施設整備支援機構特例業務勘定によるJR北海道、JR四国、JR貨物への支援も継続する。

 このほか、バリアフリー化やホームドア整備、耐震補強、豪雨対策、老朽化対策、災害復旧支援などで予算要求。物流革新に向けた貨物鉄道ネットワーク強化のための施設整備や、モーダルシフトなども推進していく。DX、GX推進についても要求を行う。

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